田中正恭の汽車旅日記

ここは、紀行作家・田中正恭 (たなかまさやす) が、つれづれなるままに各地の旅や、鉄道に関する話題について綴っており、原則として毎週日曜日に更新しています。時には鉄道以外の話題になることもありますが、よろしくお願い致します。内容につきましてのご感想や、執筆や講演などの依頼がありましたら、お気軽にメッセージをお寄せください。なお、写真や文章の無断転載はご遠慮願います。

リニア中央新幹線ルート発表

JR東海はこのほど、2027年に開業を目指すリニア中央新幹線のルートを正式に発表しました。
リニア鉄道館
これは、名古屋市の金城ふ頭にあるリニア鉄道館に並ぶN700系のぞみと、リニア新幹線です。

発表された計画によれば、東京の品川を起点として、相模原市橋本~甲府市~飯田市~中津川市の順に通過する各県に一駅ずつ設置し、名古屋に至るというものです。これは、東京~名古屋間をほぼ直線に結び、その8割以上がトンネルの中で、地上部分も騒音や自然災害を防止するためシュエルターの中を時速500キロ以上で突っ走る計画です。途中区間で列車の姿が見えるのは、富士山の北側のほんのわずかの区間といくつかの川を越える場合に限られるということです。また、富士山が見えると言っても、時速500キロで走れば、それはわずかに3秒のことだとか…これは、もはや、鉄道の概念をははるかに超えた別次元の交通機関と言えるでしょう。


こちらは、平成17年に愛知県長久手町で開催された愛知万博でのJR東海パビリオンです。
リニア東海館外側377
このパビリオンでは、観客はリニア新幹線の擬似乗車体験をすることができました。
リニア東海館内部◎
それは、正に真っ暗なチューブの中を走る長大な金属の塊でした。まるで、真っ暗闇の滑走路をどこまでも疾走するジェット機のようでした。飛行機なら、窓から下界を眺める楽しみがありますが、リニアは、ひたすら闇の中を突っ走るだけ。その時、私はちっとも乗ってみたいとは思いませんでした。これに汽車旅の楽しさを求めることは無理なことで、単なる点と点との移動手段に過ぎないと思います。

もちろん、日本の技術力は世界に誇るべき素晴らしい進化を遂げ、目的地に一刻も早く到達することを目指すのは当然のことだと思います。これをあえて、否定しようとは思いません。JR東海が自己資金だけで建設しようという資金力はすごいことです。また、途中駅周辺地域が、リニアの開通によりどのように発展していくのかも楽しみであります。

けれど、よく考えてみると、そんな莫大な経費を使い、自然環境を大きく破壊してまで作る必要があるのかな、と思うこともあります。それだけ資金力があるのは、東海道新幹線という超ドル箱路線を一社で独占し、お荷物のローカル線が殆どないJR東海の恵まれた環境のおかげであることは明らかです。その一方で、元は同じ国鉄でありながら、利用者の激減に苦しむJR三島各社のことを思うと、あの分割ははたしてよかったのかなと考えてしまいます。
また、少子化により、今後、人口が減少していく中で、リニアの開通により、乗客が激減すると思われる東海道新幹線の採算が取れるのかという懸念もあります。思えば、新幹線が開業した昭和39年に国鉄は初めて赤字に転落したのですから。

とはいえ、時代は確実に変わっていきます。最初、陸蒸気が走った時、それまで馬か駕籠しか知らなかった人々は蒸気機関車を見て仰天しました。また、新幹線が日本の戦後の経済発展を支えたことはまぎれもない事実です。
何かが変わる時、人は懐疑的な考えに陥りがちですが、そのような否定的な意見を押し切って、これまで人類は進歩してきたのです。リニアが大阪まで開通する時まで、私の寿命はもたないかもしれませんが、リニアによってもたらされる世の中のの変化するのか、次の世代の人たちがその答えを知ることになるでしょう。

リニア記事〇382
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  1. 2013/09/29(日) 00:02:17|
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