田中正恭の汽車旅日記

ここは、紀行作家・田中正恭 (たなかまさやす) が、つれづれなるままに各地の旅や、鉄道に関する話題について綴っており、原則として毎週日曜日に更新しています。時には鉄道以外の話題になることもありますが、よろしくお願い致します。内容につきましてのご感想や、執筆や講演などの依頼がありましたら、お気軽にメッセージをお寄せください。なお、写真や文章の無断転載はご遠慮願います。

日本最小の三セク/阿佐海岸鉄道

今週は、徳島県南部のJR牟岐線海部(かいふ)駅から高知県の甲浦(かんのうら)駅を結ぶ阿佐海岸鉄道をご紹介しましょう。
阿佐海岸鉄道は、平成4年に開業した全長わずか8・5キロのミニ第三セクター鉄道で、阿佐東線の路線名が名付けられています。

阿佐線は、元々は、大正時代に阿波と土佐を結び、四国の東南部をほぼ海岸線に沿って一周する鉄道として計画され、昭和17年までに徳島~牟岐間が国鉄牟岐線として開通しました。その後、昭和48年になってようやく牟岐~海部間が延伸開業。その先、海部~甲浦間も路盤はほぼ完成していましたが、国鉄の財政が破綻状態になったために、工事が凍結されてしまいました。
ところが、国鉄民営化後の平成4年になって、ようやく地元自治体の出資により、第三セクターの阿佐海岸鉄道として開業したのでした。もしも、海部まで延伸した時に同時に甲浦まで開業していたとしたら、この区間は当時の国鉄、現在のJR牟岐線の一部となっていたことは間違いありません。
そんな経緯で誕生した阿佐東線が開業して24年、今もごく少数の乗客を乗せて細々と走り続けています。

これが、起点の海部駅です。
①海部駅 (550x367)
国鉄海部駅として開業した時には四国で初めての高架駅でした。
かつては、高架下にある観光案内所で乗車券が委託販売されていましたが、今はシャッターが閉じられたままで、完全な無人駅となっています。

階段を登ってホームに上がると、たった一両の気動車が、エンジンを切ったまま静かに停車していました。
この列車は廃線になった宮崎県の高千穂鉄道から譲渡されたものですが、かなり錆が目立ちます。
②みなでのらんけ (550x350)
列車のボディには「みなでのらんけ」と書かれていますが、乗客の姿がありません。
③無人の車内 (550x367)
発車時刻の直前にようやく運転士がディーゼルエンジンをかけて定刻に列車は動き始めましたが、私ひとりの貸切列車でした。

列車は海部を出るとしばらくは那佐湾という静かな内海を眺めながら走ります。
那佐湾 (550x367)
やがて車窓には雄大な太平洋が広がりました。

海部~宍喰(ししくい)間を行く列車です。
④海部~宍喰 (550x367)
この線は全線にわたって高架線の上を走ります。
⑤海部~宍喰2 (550x363)

唯一の途中駅の宍喰駅です。
⑥宍喰駅ホーム (550x367)
この駅は有人駅で、この鉄道会社の本社や車庫があります。
⑦宍喰駅 (550x365)
宍喰は、かつてプロ野球阪急ブレーブスを3年連続日本一に導いた上田利治監督の出身地です。
⑧上田監督 (550x367)

徳島県から高知県への県境のトンネルをくぐると終点の甲浦です。
⑨甲浦駅名標 (550x367)
この先に続く線路はありません。
当初の計画では、ここからさらに室戸、奈半利(なはり)、安芸を経由して土讃線の後免(ごめん)まで線路がつながるはずでした。
後免~奈半利間は、土佐くろしお鉄道阿佐線(ごめんなはり線)として平成14年に開業しましたが、残された奈半利~甲浦間は未着工のままで、開通する見込みはまったくありません。

甲浦駅は観光案内所になっており、婦人会の女性が毎日、交代で乗車券を売ったり、レンタサイクルを貸し出したりしています。
⑩甲浦駅 (550x349)

折り返しの列車で海部まで戻りました。
今度はお遍路さんなど5人の乗客がいました。
⑪山のないトンネル (550x367)
海部駅の北側の牟岐線上には、町内トンネルという山のない不思議なトンネルがあります。
牟岐線開業時には、この上に山がある普通のトンネルだったのですが、宅地開発により山が切り崩され、トンネルだけが残ったのだそうです。

海部駅のホームで、JRの列車と阿佐海岸鉄道の列車が並び、それぞれの列車の乗客が乗り換えました。
⑫JRと阿佐鉄 (550x352)

かつては、阿佐海岸鉄道にも岡山や高松までのJRの特急列車が乗り入れていました。
⑬H9海部駅 (550x368)
これは、平成9年に海部駅でJRの特急車両と並ぶ、阿佐海岸鉄道の列車です。

そして、阿佐海岸鉄道の切符です。
⑭きっぷ (490x245)
海部~甲浦間の運賃が、平成9年も、その19年後の現在も270円と変わっていないことがわかります。
⑮硬券セット (720x408)
19年前に訪れた時には、日付が西暦、今は平成というのが面白いですね。
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  1. 2016/10/23(日) 00:01:43|
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